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2025/01/01 00:00
竹伐り
雪深く自然豊かなここ北海道での材料採取「竹伐り」は9月中旬から雪が積もり始める11月頃までの約2か月余り。
自ら山に入り籠作りに適した根曲がり竹(チシマザサ)を厳選しながら竹を伐り出す。
期間がとても短いうえに、そこはヒグマの住処・・・。
出遭わぬよう祈りながら、警戒して竹藪の中を漕ぎ続ける。

籠作りに適した竹を厳選することはもちろん、編む場所によって年数の異なる竹を使うため竹の年数を見極めることも大切。
この短い期間で一年分の竹を伐り出す。
根曲がり竹は、一般的に竹細工で使われるほかの竹に比べて細いため、一本の竹から取れる竹ひごはわずか数本・・・。
ひとつの籠を作るためにたくさんの竹が必要なのだ。

自然の循環が育む根曲がり竹。
植物を編み、籠にする竹細工。
自然のサイクルに準じて竹を伐り出すことでカビにくい材料になる。
9月半ば頃になると根曲がり竹の中に蓄えられた養分が土に還り、翌年の新芽(タケノコ)の準備を始める。
私たちは、この養分が最も少ない限られた時期のみに採取した竹を使用する。
材料作り
北海道が育んだ自然の恵みに感謝して、材料は無駄なく使うことを念頭に置きひごをとる。
ハカマや汚れを取り除き、磨いた竹をつくる籠に合わせて幅と厚みを整え、トゲやささくれがなるべく出ないように一本一本ていねいに手で確かめる。
暮らしの中で安心して使えるようにと心を籠めて。

雪の重みにも耐え、堅牢に育つ根曲がり竹は根元が曲がり節と節の間が短いことが特徴のひとつ。
その分加工が難しいと言われているが、この竹ならではの粘り強さと光沢ある艶、野趣に富んだ風合い。
かごを編む前のこの段階でも心が踊る。根曲竹特有の丸みも活かし、実用的だけでなく心地良い手触りの優しいかご。
作り手としての私たちがこだわる大切なポイントだ。

籠を編む
竹細工で伝わる伝統的技法の代表ともいえる「ざる目」と「かご目」。
ざる目は隙間なく編まれ、かご目は編み目が大きく模様が透けて見える。
編み方にはいくつかの種類があり、通気性を高める、強度を増すなどの特徴がある。
暮らしの用途に合わせ大きさや形など多様に編むことができるのも魅力。

ひごの感触を手で確かめながら、出来上がるカタチを想像して丁寧に編み上げる。
根曲がり竹は細いがために、竹ひご一本一本が丸みを帯びて、かごになったとき力強さの中にも素朴で優しい印象に。
使うにつれて味わいある表情になり、それがまた愛着を生み出す。
だからこそ、日々の使用に耐えうる力強さが備わっていなければならない。
籠を愛する人がいるから、私たちは今日も籠をつくる。
実用的でいて丈夫で、美しく。
存在感はあるけれど いつも暮らしの中にある。
長く使える、長く使いたい。と思える暮らしの道具を作り続けたい。

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